COMMENT
キム・スイン監督の『毒親』は、世界で最も近い存在でありながら、同時に最も遠い存在である、母と娘の関係について、思慮深い考察がなされている。その関係性をミステリー様式で解き明かすことで、劇的な緊張感と密度を高めており、ジャンル映画の監督として、監督の才能が際立つ作品である。
最近の韓国の女性監督たちの長編、短編には、長い間韓国社会の根幹を支配してきた家父長制の矛盾が描かれることが多い。そして長い間その被害者であり、代々受け継がれてきた矛盾した関係の中で、愛情と執着、愛憎と憐憫によって複雑に絡み合った母と娘の関係を描いた作品が一つの傾向を成していると言えるだろう。その中で「毒親」は、愛情という名のもとに隠された執着と見えない暴力、代々受け継がれてきたねじれた関係を、ジャンル映画の文法によって、緻密にかつ新たな手法で解き明かしていく。 さらに、最近韓国社会を震撼させた教師に対する保護者からのパワハラなどの衝撃的な事件を予見したかのような内容は、社会現象とその病根についての事前の取材が、どれほど真剣かつ緻密に行われたかを証明している。
長編デビュー作でありながら、密度の濃いジャンル映画としての問題提起、母親役の中堅俳優、チャン・ソヒと、娘役の新人俳優、カン・アンナの調和のとれたアンサンブルを引き出した安定した演出が印象的な「毒親」の実績と、現実に基づいた題材に対する真剣な苦悩をジャンル映画としての話法で深く掘り下げていくキム・スイン監督。早くも次回作が期待されるのも、こうした理由からである。
モー・ウニョン
ブチョン国際ファンタスティック映画祭プログラマー